#ケーススタディー
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売れない原因は行動の前に仕込まれていたBASEの設計思想とは
はじめに
ネットショップの世界で、多くの人が一度は耳にしたことがあるのがBASEです。
初期費用0円、月額費用なし。個人でも簡単にネットショップを始められるサービスとして知られています。
一見すると、ITやECの話で、私たちのような小さな店舗経営とは少し距離のある世界に見えるかもしれません。
しかし、その思想や仕組みを丁寧に見ていくと、小さな商売にこそそのまま使える学びが詰まっていることに気づきます。
この記事では、BASEの哲学と設計をひも解きながら、小規模事業にどう応用できるのかという視点で整理していきます。
1.企業の哲学・コンセプト

「誰でも、簡単に、ネットで売れる」
BASEの哲学をひと言で表すなら、「誰でも、簡単に、ネットで売れる」。
この考え方が、サービス全体の設計を一貫して貫いています。
初期費用は0円で、月額費用もかかりません。専門的な知識がなくても、画面に沿って操作すればショップが立ち上がる。
この設計は、「準備がすでに整った人」ではなく、「これから挑戦する人」を主役にしているからこそ成り立っています。
BASEは、完成された事業者のためのツールというよりも、一歩目を踏み出す人の背中をそっと押すための土台だと感じます。
2.仕組み・実践

「完璧にさせない」ための意図された設計
BASEの仕組みを見ていくと、いくつか共通した意図が見えてきます。
まず特徴的なのが、固定費を持たせない料金構造です。ショップを開設しただけでは費用はかからず、商品が売れたときにだけ所定の手数料が発生します。
これは、「始めること」そのものの心理的ハードルを、できる限り下げるための仕掛けです。
また、BASEは最初からすべての機能が揃っているわけではありません。必要になったタイミングで拡張アプリを追加していく、後付け前提の構造になっています。
最初から全部を持たせず、成長に合わせて少しずつ整えていく。この考え方は、小さな事業の進め方とよく似ています。
決済についても、クレジットカードやコンビニ決済、Pay系決済など、日本国内で使われやすい手段が標準で用意されています。
売る側の都合ではなく、買う側の使いやすさから逆算された設計です。
3.自分の店に応用する視点
もしこの考え方を小規模店舗で取り入れるなら
BASEの思想は、リアルな店舗経営にもそのまま置き換えることができます。
最初から完成形を目指さないこと。固定費はできるだけ後ろ倒しにすること。今は不要なものを無理に持たず、必要になったら足していくこと。
そして、初心者の目線で導線を考えること。
BASEは売上規模よりも、「始めやすさ」と「続けやすさ」を優先した設計です。
これは、小さな店にとってとても現実的で、取り入れやすい考え方だと思います。
4.筆者の体験談

小さく始めたからこそ見えたこと
実際に私たちがギフトショップを始めたときは、「最初から整えすぎない」ことを意識していました。
商品数はあえて絞り、「本当に届けたいものだけ」を並べて、まずは動かしてみる。
その反応を見ながら調整していく、という進め方です。
一方で、あとから振り返って「これは早すぎた」と感じた判断もありました。
店舗をオープンした直後、スタッフの数を増やそうとしたのですが、その直後にコロナ禍に入ります。
人の動きが止まり、想定していた来店や売上は大きく外れました。
この経験から、固定費を増やす判断は環境の変化に弱い、という現実を知りました。
また、「仕組みを整えれば人は来るはずだ」と考えていた時期もあります。
ネット上の導線や準備は一通り整えましたが、そもそも人が来ない、という壁にぶつかります。
準備と結果が結びつかない違和感を、はっきりと感じました。
そこで方向を変え、WEB広告ではなく、地道にビラを配ることにしました。
一見すると非効率な方法ですが、「まず知ってもらう」ことに集中したことで、少しずつ反応が返ってくるようになりました。
この経験から、ツールや手法そのものよりも、今の環境で実行できる行動を選ぶことが何より大切だと感じています。
BASEのような仕組みは売るための土台を整えてくれますが、人を動かす行動まで代わっているわけではありません。
だからこそ、完璧な準備よりも、小さく試し、学びながら整えていく。
この積み重ねが、商売を前に進めてくれるのだと思います。
小さな商売と、マーケティングの視点
私たちが学んできたマーケティングも、考え方の根っこはとてもシンプルでした。
それは、「売るために何をするか」ではなく、「人が自然に行動できる環境をどう設計するか」という視点です。
BASEの設計思想を見ていると、この考え方と重なる部分が多いと感じます。
派手な広告やテクニックよりも、始めやすい導線、失敗しにくい構造、継続できる余白。こうした仕組みが、結果的にマーケティングとして機能していくのだと思います。
マーケティングも、特別なノウハウではありません。
人の動きを丁寧に考え、設計していくことの積み重ねでした。
5.教訓リスト
この記事から持ち帰ってほしいこと
ここまでBASEの設計思想と、マーケティングに共通する考え方を見てきました。
最後に、私たちが実感として持ち帰った教訓を整理しておきます。
成功から学んだこと

始めやすさは、行動量を確実に増やす
「やってみよう」と思った瞬間に動けるかどうかは、意志の強さよりも設計で決まります。
BASEのように初期費用や準備のハードルが低いと、試す回数が自然と増えます。
結果として、学びのスピードも上がり、修正も早くなります。
固定費を抑えると、判断が柔らかくなる
固定費が重いと、「失敗できない前提」で考えてしまいます。
一方、コストが軽い状態だと、挑戦や撤退の判断が冷静になります。
これは精神論ではなく、構造の問題だと感じました。
完璧を目指さない方が、結果的に続きやすい
最初から完成度を求めすぎると、始める前に疲れてしまいます。
BASEの設計は「走りながら整える」ことを前提にしている。
この前提に立つだけで、商売はずっと現実的になります。
失敗から学んだこと

ツールだけでは、売上は生まれない
BASEはあくまで「売るための土台」です。
商品が何か、誰に届けたいのか、どんな価値があるのか。
そこを考えずにツールだけ整えても、結果は出ません。
「簡単=うまくいく」わけではない
始めやすいことと、成果が出ることは別です。
ここを混同すると、「思ったより売れない」という違和感が生まれます。
BASEは魔法ではなく、行動を支える仕組みだと理解する必要があります。
集客と商品設計は、切り分けが必要
ネットショップを作ることと、知ってもらうことは別問題です。
BASEは「売る場所」を用意してくれますが、「人を連れてくる」部分は自分たちの役割です。
この役割分担を理解していないと、ツールに期待しすぎてしまいます。
おわりに
大切にしてきた「社会貢献」という考え方
私たちが会話する中で、よく話題に上がるのが「この商売は、結果的に誰の役に立っているのか」という問いです。
売上や効率だけでなく、挑戦する人が一歩踏み出せること、失敗しても立ち直れる余白があること。そうした環境をつくること自体が、一つの社会貢献なのではないかと私たちは考えています。
BASEのようなサービスが増えることで、挑戦できる人が増え、小さな商いが地域や暮らしに根づいていく。
その連鎖こそが、大切にしてきた社会貢献のひとつの形なのかもしれません。
大きな資本がなくても、有名なブランドでなくても、商売は始められます。
どう始めるか。どこまで最初に背負うか。どこに余白を残すか。その選択ひとつで、事業の続け方は大きく変わります。BASEのやり方をそのまま真似る必要はありません。
ただ、その考え方を自分たちのサイズに落とし込むことは、きっとできます。
